発題題目・概要
前半(21:05~22:00)の発題題目・概要
発題番号(1)
日本語教科書や教材におけるジェンダーについての無意識の思い込みについて話し合いませんか?
加藤恵梨(愛知教育大学)・向文鵬(愛知教育大学大学院生)・孫珂児(愛知教育大学研究生)
私たちが用いている日本語教科書・教材の中には、ジェンダーについての無意識の思い込みがひそみ、人々に気づかれることなく、長年使い続けられているものがあります。それらについて日本語教育関係者はどのように扱ったら良いかについて、皆様と意見交換をしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
発題番号(2)
AI時代の教科書・教材作成:著作権フリーの画像生成の方法
瀧本真理 (フリー)・今井新悟(一社日本語教育支援協会)
AIによる画像生成技術が急激に進展し、教科書や教材作成において著作権フリーの画像を効率的に作成する可能性が広がっています。生成AIが苦手とするキャラクターの一貫性保持の課題や、教育用教材に求められる点に注目し、具体的な生成手法や改善策を検討しました。複数のAIツールを比較し、キャラクター設計のプロセスを試行錯誤した結果を報告し、参加者とともに、教育現場に適した画像制作の最適解を探りたいと思います。
発題番号(3)
CEFR B段階の自らの言語学習の省察的実践が自律的動機づけを高める可能性
倉八順子(東京富士語学院・和洋女子大学)
学びにおいては、自分の学びを省察し、学び方を学ぶことが、自律的動機づけを高めることがわかっています。省察の大切さはCEFRの考え方にも述べられています。本発表では、B段階の学生に対話によるアクティブ・ラーニングを行ったうえで、学生自らが書いた省察の作文について報告し、<省察>の意義についてみなさまと議論できたらと思います。
発題番号(4)
海外での活動を応援!2025年度「日本語教育グローバル人材奨励プログラム」説明会
日本語教育学会国際連携委員会
公益社団法人日本語教育学会では、一般社団法人尚友俱楽部の助成を受け、日本国内の日本語教育分野の若手研究者・実践者が海外の日本語教育現場の協力者とともに活動を行う際の費用の一部または全額を支援する「日本語教育グローバル人材奨励プログラム」を行っています。2025年度分のグローバル人材奨励プログラム募集について、説明会・相談会を行います。交流会の前半・後半のどちらも行います。ご関心のある方はぜひお越しください!
発題番号(5)
発題辞退
発題番号(6)
日本語の教室研究の魅力の紹介
冨田郁子(名古屋経営会計専門学校)・加藤伸彦(京都外国語大学)
皆さんは、日本語を学ぶ教室内でどのようなやり取りが行われているのか、教師や学習者は教室内で何を考え何を学んでいるのか、研究してみたいと思ったことはありませんか。この発表では、外国語教室研究の著作・論文の一部を紹介することで、その魅力をお伝えするとともに、教室研究に興味がある研究仲間を増やし、教室研究の研究会を作れればと思っています。
発題番号(7)
多読とは?これだけ知っていれば先ず大丈夫!
田畑サンドーム光恵(Massey University (マッセイ大学))
2017年始動の日本語多読サイト「読み物いっぱい」を含め、十数年余、私は日本語多読の普及のため、研究や出版活動(例:書籍「言語教育における多読」)をしてきました。活性化してきたようにみえる日本語多読ですが、関わる機会の無い先生方にとっては、未だ縁遠い物のように捉えられていると聞きます。そこで、本発表では、研究成果に基づき、正確にしかも端的に多読を紹介し、多くの方が実践できる可能性を提起し、もう一つの有効な方法―速読―についても説明します。無料のツールのご紹介もあります!
発題番号(8)
カンボジア人日本語教師の抱える問題を明らかにし、解決に向けて一緒に考えようプロジェクト
細井駿吾(東京国際大学)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
日本語教師として働く中で、何か抱えている問題がありますか。カンボジア人日本語教師の中には、卒業後すぐに教壇に立ち、経験の浅さや日本での生活経験の不足から自信を持てないという声を耳にしました。こうした問題を明らかにするため、インタビューを実施し、その後、それらの解決策や意見交換の場としてPadletを活用しました。異なる国や機関で活躍する皆様と解決に向けたアイデアを共有し、意見交換をしたいと考えています。
発題番号(9)
学習支援のための日本語聴解認知診断テスト(B1)の開発 -よりよいフィードバックを目指して-
澁川晶(国際基督教大学)・島田めぐみ(日本大学)・保坂敏子(日本大学)・孫媛(国立情報学研究所)・谷部弘子(東京学芸大学)
私たちは、「日本語聴解認知診断テスト」を開発しているグループです。一般的な聴解試験の場合、どのような力が足りないのかという具体的な情報は得られませんが、本テストではそのような情報と弱点を強化するための練習問題を提供します。テストやフィードバックを見ていただき、よりよいフィードバックのあり方について意見交換できればと思います。さらに、聴解の授業の在り方、望まれる教材について、日本語教員や学習者の皆さんと意見・情報交換したいと考えています。
発題番号(10)
海外の中等教育機関における日本語学習者の学習意欲とニーズ
大竹春菜 (筑波大学大学院生)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
海外の中等教育機関における日本語教育では、学習者の動機づけに課題感を抱く教師が多いようです。そこで、学習者は学校で受けている日本語の授業に何を感じ、何を求めているのか、タイの高校生を対象に調査しました。その結果をご報告するとともに、中等教育特有の日本語教育の在り方や課題、現場の状況などについて意見交換できたらと考えております。
発題番号(11)
ベトナムの高等教育機関における発音指導の教材・実践の改善に向けて
千 仙永(国際基督教大学)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
発題者は、ベトナムの高等教育機関で立案された発音指導プログラムが機能するように、現地の教師と協力してプロトタイプ教材を作成し、その改善や指導実践について意見交換を行っています。その一環として、2024年11月に、ベトナム人教師がどのような意識を持ち、発音指導に取り組んでいるか、現地調査を行いました。交流会では、活動の結果や現地の教師らの声など報告し、教育現場が抱える発音指導の課題やその解決策について、皆様と意見交換できればと思います。
発題番号(12)
ウズベキスタン共和国における日本語キャリア教育の実践と省察
岩屋広輝(株式会社高度外国人材支援機構)・濱田礼子
ウズベキスタン共和国における日本企業への就職を希望する初級理系学生を対象に、JLPTのN2レベルを身に着けることを目的とした日本語教育を実施した。日本語教育機関では通常2年以上かかるプログラムを5カ月に短縮して進めた結果、一定数の受講者が目標を達成することができた。この経験をもとに、高速学習プログラムの課題について議論を深めたい。
発題番号(13)
学会・研究会の歩き方
中川健司(横浜国立大学)・角南北斗(フリーランス)・平山允子(日本学生支援機構)・鈴木綾乃(横浜市立大学)
学会や研究会は、自分の実践や研究の発信、情報収集、ネットワーキングのうえでとても有用な場です。しかし、日本語教育関連の学会・研究会は20以上あり、どの学会に参加するか、どの学会で発表するか決めるのも容易ではありません。本発題では、参加者のみなさんと、どのような学会・研修会をどのように活用しているのか、学会・研究会に何を求めているのかについて意見交換できればと思います。
発題番号(14)
日本語教育の「目的地」を再考しよう - オーストラリア全土のY10-12学生イベントから得られた洞察
Benjamin Gibb( ギブ ベンジャミン)(ニューキャッスル大学(オーストラリア))
「日本語の学習を続ける意欲が高まった」2024年にオーストラリアのNSW州で、開催された「未来」というオンキャンパス(マッコーリー大学)またはオンライン学生イベントに参加した学生の80%が、この調査項目に対して5段階評価で4または5をつけました。オーストラリア全土の89校から集まったY10-12の学生たちは、14人以上の講演者から、高校交換留学、ワーキングホリデービザ、学期交換、大学での日本語学習、JETプログラムについてのプレゼンテーションを聞きました。このセッションでは、イベントから得られたデータと感想を発表します。
発題番号(15)
韓国における日本語ディベート大会の実践共有〜韓国での取り組みと国際連携の可能性〜
諏訪昭宏(釜山外国語大学)・張良光(カトリック大学)・横山菜穂子(聖公会大学)・三國喜保子(釜山外国語大学)・韓国大学生日本語ディベート大会運営委員会
韓国で大学生対象の日本語ディベート大会を主催しています。ディベートを通じた日本語力や社会人基礎力の育成を目指し、昨年12回大会を終え、これまでに延べ630名が参加、さらに昨年は初の即興型ディベート大会も開催しました。教育的意義を感じる一方、運営面や国際的な連携について課題もあります。このブースでは、取り組みを共有しながら、世界大会の可能性や議論教育の発展について意見交換を行い、新たな視点やアイデアを得られればと考えています。
発題番号(16)
インドネシアの中等教育における21世紀型スキル育成を目指した日本語授業の実態と教師の意識・役割:カリキュラム改革の影響と教師の学び
古内綾子(明治大学)・二瓶知子
インドネシアの高校では、21世紀型スキル育成のため、学習者中心の教育へと転換が図られていますが、教師にとって教育観を変え、実践するのは簡単ではありません。私達は、そのような変革の中の教師を対象に、授業の実態や、どう教え方を変えてきたのかを調査しました。本発表では、研究結果を共有し、21世紀型スキル育成を目標とした新しい教育に取り組む教師の学びを、どう支援できるか、皆様と議論したいと考えています。
発題番号(17)
現地外国人日本語教師の生の声から考える多文化共生時代の日本語指導
金本節子(茨城大学(名誉教授))
インドネシア教育大学日本語教育学科は1965年に設立され、2025年に設立60周年を迎える。本発題では、本教育機関における60年の日本語指導のもとで育ったインドネシア人日本語教師による作文集に寄せられた現地外国人日本語教師経験者(延べ100名)の生の声を資料として、派遣専門家の視点から、多文化共生時代に生かされるべき海外における日本語指導の役割について考える。
発題番号(18)
Zoom以上VR未満!? 2Dメタバースがもたらす日本語教育の可能性
吉川達(立命館大学)・石塚健(立命館大学)・道上史絵(立命館大学)・布尾勝一郎(立命館アジア太平洋大学)・SRI Budi Lestari(立命館アジア太平洋大学)・星野智子(立命館アジア太平洋大学)
生成AIの出現によってすっかり影が薄くなった感のあるメタバースですが、世界中の学習者、教師が同時に同じ場に集えるという利点は大きく、それを生かせばまだまだ日本語教育においても発展性があるのではないでしょうか。ただメタバースは「難しそう」「特別な機器が必要なのでは」といった印象もあります。本発題では、日本語教師が現実的に使えるメタバースを紹介し、どのように教育活動に取り入れられるか、意見交換をしたいと思います。
発題番号(19)
「ら抜き言葉」の広がりと日本語教育への影響
田中大貴(茨城大学人文社会科学部現代社会学科(大学4年))
「ら抜き言葉」は日本語の誤用とされつつも、日本語母語話者に自然と使われてもいる表現である。外国人学習者が周りの日本人から「ら抜き」を知ることもある。さらに、ベトナムの学習者を対象に「ら抜き言葉」の認知を調べたところ、日本人と関わる機会がなくとも、日本語の作品から「ら抜き」を知ったという学習者が多く見られた。このように教科書に載っている活用とは異なるものの広く使用・認知されている表現について、今後日本語教育にてどう扱っていくべきか、交流を通じて考えていきたい。
発題番号(20)
OJAE道場―世界中の日本語教育関係者がオンラインで協働鍛錬する拠点―
萩原幸司(城西国際大学)・山田ボヒネック頼子(EIJaLEヨーロッパ日本語教育学研究所)・梅津由美子(ベルリン日独センター)・酒井康子(ライプツィヒ大学言語学院)・高木三知子(フリーランス)
発題者を含む研究グループは2010年、CEFR準拠日本語対話型アセスメントとしてOJAE(Oral Japanese Assessement Europe)を開発し、更に2021年、OJAEを日本語教師の協働鍛錬に活かすべく、オンライン上にOJAE道場を開設した。ここでは、OJAEとOJAE道場のこれまでの歩みについて報告しつつ、専門性を高め合う共同体として、OJAE道場が持つ新たな可能性を共に探求したいと考える。
発題番号(21)
高校生が教える「グローバルな国語」:国語教育と継承語教育の連携を目指して
林圭介(法政大学中学高等学校)・白川理恵(Huron University,森のまち日本語学校)
国語教育は海外の日本語学習者に何を教えることができるか。背景には、日本でも外国にルーツを持った学習者と母語話者が共に学ぶ機会が増え、逆に日本にルーツを持った学習者が海外で日本語を継承する必要が生まれつつあることが挙げられる。そこで日本の高校生がカナダの土曜学校の学習者に国語教科書で学んだ作品を紹介する授業を行った。「高校生が国語を教えること」と題した交流活動からグローバルに繋がる日本語を考えたい。
発題番号(22)
言語教育で「年齢らしさ」をどのように扱うことができるのか―韓国の日本語教育機関でのフィールド調査から考えたこと―
吉井雄樹(関西学院大学大学院)・ 岡本舞夏(関西学院大学大学院)・ 金侑蘭(関西学院大学大学院)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
年齢」は人々の自己を形成する要素のひとつだと思います。そこには多様なあり方があるはずですが、「n歳/n代/x世代は~だ」という紋切り型の表現も耳にすることがあります。私たちは、韓国の大学でのフィールド調査を通じて、「年齢を尋ねる」文型の扱いや「年齢」に与えられる「知」を手がかりに、日本語教育で「年齢らしさ」をどのように扱うことができるのかを考えてみました。交流会当日は、フィールド調査で得た成果とその振り返りを共有します。私たちと一緒に「年齢」について改めて考えてみませんか。
後半(22:00~22:55)の発題題目・概要
発題番号(22)
オンライン日本語教師として成功するための実践知:10年間の経験から学んだこと
Mariano Napoleon Zurita(freelance)
近年、オンラインで日本語を教える教師が増えていますが、その働き方や課題、必要なスキルについては十分に議論されていないのが現状です。本発表では、オンライン日本語教師としての10年間の経験をもとに、教育の質を向上させるための具体的な方法や、学習者との信頼関係の築き方について共有します。また、フリーランス教師として直面する主な課題(生徒の獲得、レッスンプランの設計、収入の安定化など)とその解決策についても考察し、特にAI技術の進展に伴い、日本語教師がどのように適応し、学習者に価値を提供できるかについて議論します。この発表を通じて、オンライン日本語教師としての実践的な知見を提供し、教育の現場で役立つアイデアを共有することを目指します。
発題番号(23)
送り出し機関と受け入れ企業を通して日本で働く外国人労働者向けオンライン日本語教育を提供した実践研究
包高娃(ホゴア)(東北大学大学院教育学研究科)
中小零細企業で指導役を担う社員の負担が懸念される。外国人労働者の受け入れをしている企業は入国から就業まで監理団体に依頼しているが、就業中の各種フォローの体制が十分だと言えない。そこで、本実践研究では、送り出し機関、受け入れ企業を対象に、オンライン日本語教育と文化的多様化の職場適応支援を含む育成支援と生活支援を提供し、外国人労働者を受け入れる企業の助けになることを目指す。
発題番号(24)
会話の種類に応じて、話すCan-doの指導を変えることの提案
小室純人(フリーランス日本語教師)
行動中心アプローチに基づくCan-do型の教科書としては、『できる日本語』(嶋田 2011)や『いろどり』(国際交流基金日本語国際センター 2020)などが既に出版・公開されているが、どれも話すCan-doに関しては、ロールプレイ一辺倒となっている。しかし、「話す」と一口に言っても、様々な種類がある。そこで、本研究では、会話の種類に応じて、話すCan-doの指導を変えることを提案する。
発題番号(25)
海外での活動を応援!2025年度「日本語教育グローバル人材奨励プログラム」説明会
日本語教育学会国際連携委員会
公益社団法人日本語教育学会では、一般社団法人尚友俱楽部の助成を受け、日本国内の日本語教育分野の若手研究者・実践者が海外の日本語教育現場の協力者とともに活動を行う際の費用の一部または全額を支援する「日本語教育グローバル人材奨励プログラム」を行っています。2025年度分のグローバル人材奨励プログラム募集について、説明会・相談会を行います。交流会の前半・後半のどちらも行います。ご関心のある方はぜひお越しください!
発題番号(26)
外国人介護福祉職の日本語学習支援
松本真奈美(フリーランス)
技能実習生の入国後導入講習において、日本語と介護を指導している介護福祉講師×日本語教師です。介護現場では、外国人介護職が増加し続けており、継続的な日本語学習支援と同時に受け入れ側のコミュニケーション支援が課題となっています。両者の課題解決のための「やさしい日本語」の導入や外国人介護人材の効果的な日本語学習支援について意見交換を行いたいです。
発題番号(27)
ハンガリーの地方都市における日本語教育と日本文化事業の実態
松隈杏梨(早稲田大学大学院)・神美妃(早稲田大学大学院)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
私たちはハンガリーにあるヴェスプレームという地方都市をフィールドとして、学習者及び教師を対象とした日本語教育の実態調査と、日本語・日本文化の協働実践を行いました。当日は、私たちがヴェスプレームで行った活動の報告をします。その上で、海外地方都市における日本語教育の現状と課題、課題の解決策などについて、みなさんと意見交換ができればと思います。
発題番号(28)
小中学校における多言語多読を取り入れた授業
生田佳澄(静岡県沼津市立今沢小学校と今沢中学校)
多言語多読に関する書籍が開発され学校現場での活用も始まっています。しかしながら,効果的な活用方法について開発者や大学等の研究者の知見が現場教員に必ずしも十分伝わりきれておらず多言語多読の活用方法について学校現場では研修が深まりきれていない状況です。特別の教育課程における多言語多読を授業にどのように取り入れ実施するとよいのか,在籍学級児童生徒も含めた多言語多読の実践事例も糸口に疑問点や解決策,提案も含め各国各地域の方々と共に語り合いませんか。
発題番号(29)
香港の日本語学習者と字幕付きアニメ:語彙学習の可能性を探る
土居篤司(関西大学大学院)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
アニメは日本文化の一つとして世界中で愛され、多くの学習者にとって日本語学習のきっかけにもなっています。発題者は、グローバル人材奨励プログラムの助成を受け、アニメが好きな学習者の多い香港で、字幕付きアニメを活用した語彙習得に関する調査を行いました。本発題では、調査結果をもとに、日本語教育でのアニメの活用可能性や指導方法について、参加者の皆さんと意見交換を行いたいと考えております。
発題番号(30)
「小噺プロジェクト」を用いた日本語教育実践
中内遥(関西大学)
※グローバル人材奨励プログラム採択者
本活動はチェンマイ大学にて、落語や小噺を用いて日本人が持つユーモア・笑いの言語的な文化を学べる機会を設けることを目標に実施しました。また、ユーモアだけでなく、日本の伝統的文化についての学び、実演練習を通して会話技能の向上の足がかりとなることも目標としました。現地の先生方と活動のフィードバックを行うことで、今後行う文化と言語学習を織り交ぜた授業実践の枠組みを検討することが出来ました。
発題番号(31)
AI時代における学問的誠実性を日本語教育の観点から再検討するー学術不正行為をどうするかー
Tolga Özşen (トルガ・オズシェン)(Canakkale Onsekiz Mart University (チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学))
AIの進化に伴い、教育環境は急激に変化しており、日本語教育においても根本的なアプローチの見直しと再構築が求められています。この変革において、AIを単なる「教材」として捉えるのではなく、教授法や評価方法を含む教育プロセス全体に取り入れることが重要です。その中で、もう一つの重要な課題は、AIを学問的誠実性(academic integrity)の原則に基づいて適切に活用することです。これを実現するためには、日本語教育界として学問的誠実性に関するポリシーを検討し、議論を深める必要があります。本発表では、学問的誠実性を日本語教育の全プロセスにどのように組み込むべきか、また学術不正行為(academic misconduct)を防止するために教育学的なプロアクティブアプローチをどのように活用できるかについて、理論的な話に加えて具体的な組織事例やモデルを通じて紹介します。
発題番号(32)
外国人児童生徒の読む力の育成支援のためのトレーニングセットの開発に向けて ―ひらがな特殊音節の集中トレーニングのデザインと実施―
荒木和子(横浜市教育委員会 日本語講師、横浜国大 大学院1年)
学習を支える「読む」力の育成について考える時、特殊音節の書字のルール理解があいまいなまま放置され、日本語を読むことを難しいと感じながら学習に参加しているケースも少なくないと現場で感じています。構造化されたトレーニングを通して学習者が特殊音の書字ルールを自分で再構築できるよう、特殊音に特化したトレーニングをデザインし、ICTを活用して現場に広く提供できるような特殊音書字トレーニングセットの開発をめざしています。
発題番号(33)
協働学習におけるスキャフォールディングのあり方 ―留学生同士によるアカデミック・ライティング支援を事例に―
蔡苗苗(大阪大学大学院)
日本語アカデミック・ライティング教育において、ピア・レスポンスにより学習者間の相互行為の中で生じたスキャフォールディング(Scf)のあり方を十分に掘り下げたものはほとんど見当たらない。そこで本研究では、留学生の研究計画書作成を支援する学習活動にピア・レスポンスを取り入れた協働学習を対象とし、学習者間で見られるScfの種類を分析する。さらに、談話データの前後の文脈を基に、Scfの機能とそれを介した相互行為の特徴について探究することを目指す。
発題番号(34)
社会文化理論に基づく日本語教育研究の紹介
加藤伸彦(京都外国語大学)
社会文化理論は心理学者・教育学者のレフ・ヴィゴツキーの研究に基づいて発展してきた理論です。海外の言語教育では、社会文化理論に基づく研究や教育実践が多く行われていますが、日本語教育では、まだ発展途上であるといえます。本発表では、社会文化理論に基づく研究や教育実践を紹介することで、参加者の方々に興味を持ってもらい、将来的な研究仲間を募っていけたらと思っています。
発題番号(35)
日英機械翻訳を使ったサービスラーニングのプロジェクトへの協力募集
田村直子(ボン大学)・ 西澤芳織(オックスフォード大学)
学んだことを応用しつつ授業の中で社会貢献を行うという教育的アプローチをサービスラーニング(SL)という。あるイギリスの大学が日本語の授業の一環で、ある公益団体のため(サービス)に日英機械翻訳の後編集(ラーニング)を行ったところ、機械翻訳の訳文では20%強あった間違いを、学習者は半減することができた。この団体にはさらに翻訳の需用がある。それで、このSLプロジェクトに参加してくださる大学を募集します。
発題番号(36)
ビジネス日本語教育を考えるー企業文化におけるコンフリクトを題材としたケーススタディの授業の進め方について
山口真葵(明海大学)
近年、就業経験のない学生を対象としたビジネス日本語の授業が活発に行われていますが、基礎的なコミュニケーションだけではなく、企業文化の理解を深め、問題解決力を高めるために、企業文化におけるコンフリクトを題材としたケーススタディを扱うことも増えてきたように思います。皆様の経験をシェアしながら、「他者との対話」や「学習者主体」をテーマに、より良い授業の進め方について議論できたらと思います。
発題番号(37)
日本語多読を応援するインターネットラジオ番組の実践
高橋亘(目白大学)
2023年5月から、日本語多読を応援するインターネットラジオ番組「タドラボ!」の放送を行っています。日本語をはじめ多言語で長期間多読支援を行っている方、そして学習者の方、計30名ほどを国内外から番組にお招きし、多読支援・実践のきっかけや内容、印象的なエピソードなどを伺いました。当日は番組についてご報告した上で、みなさまと日本語多読支援についてざっくばらんにお話しできればと思います。
発題番号(38)
発達障害等の特性がある日本語学習者支援と情報提供のためのウェブサイトについての意見交換
武田知子(国際基督教大学)・澁川晶(国際基督教大学)・保坂明香(立教大学)
私たちは、これまで発達障害等の特性を持つ日本語学習者が抱える学習上の困難とその支援について研究を行ってきました。現在、日本語学習者の支援に関する情報交換のためのウェブサイトの作成を進めています。オンライン交流会では、これまでの研究とウェブサイトの内容について紹介し、皆さまと学習者支援について意見交換をしたいと考えています。ぜひお越しください。
発題番号(39)
「やさしいことばニュース」の音声から音声言語での情報保障を考える
丸島歩(北海学園大学)
日本語の情報保障が文字言語に偏重していることが指摘されていますが、「やさしい日本語」での情報提供も同様です。本発題では、音声言語としての「やさしい日本語」の可能性を探るため、2024年9月末にラジオ放送が始まった「NHKやさしいことばニュース」の音声を分析しました。日本語を母語としない人にも聞きやすい日本語音声について、参加者の皆様と意見を交わしたいと思います。
発題番号(40)
バイリンガル留学回想録プロジェクト ー留学帰国者を支援するにはー
滝下まり子(University College Cork (Ireland))
留学帰国者を心理的に、言語的にどのように支援するか?現時点で進行中のこのプロジェクトでは、アイルランドに帰国した学生たちが、留学回想録を綴った本を協働制作しています。このプロジェクトは逆カルチャーショックを乗り越える支援となるか?学習言語保持の助けとなるか?どのように将来の留学生への支援に繋げるか?これらに興味がある皆様とお話したいと思っています。